きみの瞳に、

――翌日も、朝からこの上なくどんよりとした空が広がっていた。

天気予報では、また午後から雨が降り出すらしい。


天気のことを考えながら、俺は同時に、仁科さんの事を考えていた。彼女は、雨の降る様子を見ながら一体何を思っているんだろう……?


放課後、生徒会の仕事を終えて、俺は大急ぎで教室へと走った。今日最後の授業の終わり頃に降り出した雨が、俺を応援してくれているように感じる。

きっと、まだ彼女は教室に残ってる。いや、残っていて欲しい。

そっと教室の入り口から中を窺うと、彼女は鞄を持って席を立ったところだった。

間に合った……。


「あれ、今日はもう帰っちゃうんだ?」


息を切らせていることを悟られないようになるべく緩い声でそう話しかけると、仁科さんは少し驚いたようにこちらに振り向く。


「あ、うん、」

「ちょっと待ってて。一緒に帰ろう?」

「え、っと」

「ごめん、何か用事あった?」

「ううん、無い、けど」

「じゃあ、一緒に帰ろう」


反論を挟む余地を作らないように、なるべくたたみ掛けるように言葉を続けると、彼女は目を丸くしながらも俺の帰り支度を待ってくれていた。

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