あの日、雪が降っていてよかった。【完】
「……雪村さん、雪村さーん…、」

『ん………、』


私が声をかけると

猫のように丸まって眠っていた雪村さんは

ゴロン、と寝返りをうった。


「ぴ、ピザきました、」

『んんー……?……起こして…、』


雪村さんは仰向けで目を閉じたまま

少し険しい表情で

両手をひらひら、と前に出した。


「あ、えと、雪村さん…?」

『起き上がれないから起こして…、』


もしかして、仁さんとか忍さんと間違えてる……?

そんなことを思いつつも

私は控えめに、そっとその手に触れた。


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