あの日、雪が降っていてよかった。【完】
『………香月は、音楽興味あんの?』

「あ…、えと、音楽は、好きです。」


中学生の頃。

自分の居場所がなくて

今すぐに逃げ出してしまいたい時でも

音楽室でピアノを弾いているときだけは

一瞬、自由になれるような気がした。


「………音楽に触れている時は、自分の世界に入れるっていうか…、解放される気がして。」


だから好きです、と私が言うと

雪村さんはふーん、と(くう)を見つめた。
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