あの日、雪が降っていてよかった。【完】
『…………香月?』

「は、はいっ、」

『ふっ…、なんつー顔してんの。』


そんなに顔に出てしまっていたんだろうか。

雪村さんはふっと鼻で笑うと

両手で私の頬をむにーっと軽く引っ張った。


『不安?僕らがいないと、』

「ふ、不安、というか…、その、」

『なに、』

「さ、寂しいです。単純に、」


私が言うと

雪村さんは、驚いたように目をぱちくりして

その後盛大に、ふはっと吹き出した。
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