あの日、雪が降っていてよかった。【完】
『……僕はあいつから出て行くって言うまでこの家を追い出す気はないし、例えこの家にいなくなったって離す気はないよ。』

『っ、ふはっ…、お前さ、意外と情熱的なんだな、』


意外、と言わんばかりに笑う村瀬に

僕は構わず話を続けた。


『香月はもう僕にとって必要な人間だから。勝手に離れるとか許さねぇし。』

『その必要は、仕事して?それともプライベート?』

『………両方。』


香月は天才だ。

僕が見つけられなかった音も

あいつはいとも簡単に奏でる。


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