あの日、雪が降っていてよかった。【完】
『確かにさー、あの子天才だよな。それは俺もわかるよ?』

『…………あと、コーヒー。』

『コーヒー?』

『僕は今まで、あいつの淹れるコーヒーよりうまいコーヒーを飲んだことない。』

『それが、プライベートな理由?』


そうだけど、と僕が答えると

なんだそれ、と村瀬は苦笑して言った。


『まぁさー、雪村がそんだけ情熱的に想ってんなら伝わってるんじゃねぇの?相手にも。』


また進展あったら聞かせてー、と

村瀬は言って

僕の返事も聞かないまま、電話は切れた。
< 448 / 557 >

この作品をシェア

pagetop