あの日、雪が降っていてよかった。【完】
じゃあ行こっか、と言われて

私は慌てていつも着ている上着を、部屋着の上から羽織った。


『雪村にも起きたら伝えといて、』

『了解ー、行ってらっしゃーい。』

「い、行ってきます、」


外は、もうすぐ3月になるには

あまりに寒すぎて。

春の気配はまだ全然感じられなかった。


『唯ちゃんさ、なんかあった?雪村と、』

「えっ、ど、どうしてですか…?」


突然の仁さんからの質問に

びっくりして隣を見ると

そんな顔しなくても、と彼は苦笑した。
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