あの日、雪が降っていてよかった。【完】
雪村さんから言われた言葉は

今の私にはあまりにも暖かすぎて。

私は溢れ出す涙を止められなかった。


『あーー、ゆきが泣かせたー、』

『…っばか、静かにしろ、』


お前も急に泣いてんじゃねぇよ、と

雪村さんは少し乱暴に

制服の袖を私の顔に押し当てた。


「よ、汚れちゃいますから、」

『そんなこといいからはやく泣き止んで、』


これじゃあ僕が泣かせたみたいじゃん、と

雪村さんはぶっきらぼうに言って

私から目を逸らした。

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