あの日、雪が降っていてよかった。【完】
『あれ、雪降ってんじゃん。』


ほんの興味本位で

屋上へ続く階段を上がると

いつもきっちり閉まっている重い扉が

今日は少しだけ開いていた。


『このクソ寒いのに誰かいんのかよ…、』


覗くと

雪と同化するんじゃないかってくらい

真っ白な女が

屋上の柵に掴まって、静かに下を見つめていた。
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