恋する乙女の下着事情

悪ガキの恫喝事件

<保育園前・駐車場・夜10時すぎ・その1>

リノアはフードを深くかぶり、
ロードワークで走っていた。
毎晩
こどもを親に引き渡した後、
この周辺を走ることにしている。

リノアの父方の祖父は
古武道・体術の宗家であり
総帥(そうすい)である。

リノアも師範として、道場で稽古をつける立場にある。
リノアが門弟の中で、一番強い。
才能と体格に恵まれたのだ。

なぜ男に生まれなかったのか
いつも
祖父の愚痴を聞かされるが、
こればかりはしかたがない・・

リノアもそれなりには・・・
考えてはいる。
自分は・・・30才を過ぎた。
最近は
トレーニングをさぼると、
次の日のパフォーマンスに
悪い結果が出るのを実感しはじめていた。

やはり20代の時のように、
気合だけでは乗り切れなくなっている。

「なんだよぉ・・・」
保育園前の駐車場で
車のライトが光り、何人かの男の罵声が聞こえる。

どうやら男一人を
数人の男(少年)が囲んでいるようだ。
「俺らにぶつかって、
なんかいう事ないのかよ!」
一人のリーダー格らしき少年が、いいがかりをつけている。

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