恋する乙女の下着事情

＜保育園前・駐車場・その２＞

「ぶつかってないですよ！
いいがかりはやめてください！！」

やや甲高い声で、被害者らしき男が、
うろたえるように答えていた。

「はぁ？何いってんの。こいつ。
おかしいんじゃない？」
少年たちが口々に大声を出して
騒ぐ。

「金だしてくれたら、別にいいだけだし」
一人のリーダー各らしき少年が、
腕組みをして大声で怒鳴った。

悪ガキどもに囲まれていたのは・・・
あの高屋敷だった！！
その時
リノアが車の陰から、
少年たちの前にすっと出た。

「私、見てたけど、この人、あんたらに触ってないし、
ぶつかってないよ！」

一人の少年が恫喝(どうかつ)するように
「はあ、でっかいねーちゃん、
何いってんだよ！」

「かんけーねぇなら、
引っ込んでろよ、うぜぇんだよ」
悪ガキたちの視線が、リノアに集中した。

「警察呼ぶ前に、帰りなよ。」
リノアは静かに言った。

悪ガキ中でも、
太り気味の、体格のひと際良い
少年が、リノアの正面に立った。

「強気のねーちゃんが、
こいつの代わりに金だすっていうの？」

右手に持った金属バットを、
リノアに突き付けて言った。
「出さないし！！」
すかさず
リノアが足技でバットを薙(な)ぎ払った。

カキーン・・・

金属バットが音を立てて、
駐車場のコンクリートの上を
転がった。