恋する乙女の下着事情
<高屋敷先生の講義・その4>

高屋敷先生は雄弁だ。
「色は・・
大人の余裕なら黒か紺ね。
肌をきれいに見せてくれる。
ベビードールと組み合わせて、
見せる演出も必要なの」

<ベビードールってなんだ?>
リノアの疑問が一つ増えた。

「まぁ、オープンクロッチも
いいけど、やる気満々っていうのも・・
TPOがあるからねぇ」

高屋敷先生は、視線を天井に向けて、
何か、思い出しているように見えた。

<オープンクロッチ>ってなんだ?
リノアの疑問がまた増えた。

「リノアちゃんは身長があるから、
黒か赤のレザー系で、ワイルドな感じも似合いそうだけど、
絶対エレガントな感じに挑戦して欲しいわね」

レザー系って、
女王様が鞭を持つ感じなのか?

「まずは着てみて、
鏡で自分のチェックをしないと?
自分が一番きれいに見えるかどうかは、試着しないとわからないから」
最後は、
しごくまっとうな結論で締めた。

世の中の女子は、こういう知識を勉強して、
実践で総動員しているのだ・・
そう思うと、
自分がいかにそっちの世界の偏差値が低いか、
リノアはため息をついた。

「リノアちゃん、
お友達だからこれをあげる。
今年度の新作・新品だからね。
昨日、
お取り寄せしたばかりだから」

何という女子力の高さ!!
しかし、
リノアは、高屋敷の指向性に混乱もしていた。

そのまま、
高級な紙袋(ピンクのサテンのリボンが持ち手についている)に、
ブラジャーとパンティを
お土産に持たされ、部屋を出た。
もちろんオードトアレと、口紅も一緒に入っている。

「はぁーーー」
ビルを出ると、リノアはため息をついた。

ここは、
自分の生息する場所ではない事は、理解できた。
「もらったけど、まあ、
使うことは・・ないかな
タンスの肥やしじゃ、もったいないけど。」

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