恋する乙女の下着事情
<保育園前・駐車場・その2>

「ごめん・・
爪割れるから手伝えない・・」
高屋敷はすまなそうに言った。

「車、出してもらっただけで、
ホントに助かったから。
感謝しています!」
リノアは高屋敷に手を合わせると、すぐに降ろした段ボール箱の数を確認した。
にんじん、だいこん、ねぎ、しょうが、豚肉・・
材料を紙と交互に見てチェックをする。

「リノアちゃん、あたし、これから撮影の打ち合わせなんで・・
行くね?」
高屋敷はリノアに手をふり、
スタジオの方に歩いて行った。

さて、この段ボールを保育園の調理室まで、運ばないと・・・
リノアが何往復すればよいか
考えていた時だった。

大型ジープが入ってきて、段ボール箱前で止まった。
あの高屋敷ラブの支社長が、
車から降りてきた。

「君は・・いったい、今度は何をやるんだ?」

段ボールが邪魔で駐車できないのだろう。
リノアは、慌てて頭を下げた。
「ごめんなさいっ、すぐにどけますから」
「いや、あいている所に停めるから、別に問題ないが・・」

山積みの段ボールを、珍しそうに支社長は見た。
リノアも同じように見ていたが、

保育園から台車を持ってこなければ・・この数だ。
リノアは試しに、野菜の段ボールを持ち上げた。かなり重い。

「俺が持とう」
段ボールがすっと軽くなった。
「あっ、ありがとうございます。
私すぐに、台車持ってきます」

リノアが、保育園にむかって駆けだし、その後に、
段ボールを抱えた支社長が、歩いてついていく。

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