恋する乙女の下着事情
＜襲撃事件・その２＞

「どうしてもお願いしたい事が
・・あって・・」
リノアが
うつむきながら後ろ手に、
ドアをそっと閉めた。

髪の毛が顔にかかり、表情がわからないが、
何か思いつめているのはわかった。

心配をして、高屋敷はドア近くまで歩いた。
「私で力になれることがあれば・・聞くわよ？」

リノアは一歩前に出た。

「すごく恥ずかしいんだけど、
頼める人は
高屋敷さんしかいないので」

「なに？なに？・・言って、言って！」
高屋敷は、リノアの手を取った。

酒臭い。
相当に飲んで来たのか・・・
リノアはつぶやくように言った。

「あなたの精子・・ください。」

「え・・・・っ？」
高屋敷は口を押え、
一歩、
よろけるように後ずさりした。
声が出ない。

その様子を見て、
リノアが覚悟を決めたように、
一気に言葉を続けた。

「日本では不妊治療・・
結婚していないとできないです・・
だから１回だけ。
今日はばっちりだと思うので・・
お願いしますっ・・
その・・
認知してくれとか、
養育費くれとか言いません。」

高屋敷は
あわてて窓際のカーテンの陰に隠れ、顔だけ出した。

「無理、無理！　
あんた知っているでしょ・・
あたしは・・違うから」

リノアはすぃっと、間合いを詰めた。
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