恋する乙女の下着事情
<襲撃事件・その3>

リノアは冷静な口調で言った。
「無理な場合は・・  
ED用の薬とシリンジもある。」

リノアはコートのポケットから、
ジップロックの袋を、目の前でゆらした。
「ちょぃ、待ってよ。
落ち着いてね・・!あのう・・
すごいエロかっこいいんだけど」

高屋敷が
壁際にそって少しずつ移動する。
ドアはもうすぐそこだ。

リノアが小さい声でつぶやいた。
「高屋敷さんのこどもなら、絶対美形ですよね」
高屋敷は慌てて
「あの、私も整形・・ちょっとやっているし・・」

リノアは、
高屋敷のカミングアウト発言を、
全く無視して
「全身脱毛にもお金がかかったし、基礎体温も計ったし、
産婦人科のナースやっている友達にも相談したし・・・
ああ、
エステにも行きました・・
ブライダルデコルテのね」

酔っているからだろう、
とりとめもなく、一方的に報告してくる。

しかし、
日ごろの鍛錬の成果だろう、
じりじりと間合いを詰めて、
隙を見せない。

「私は結婚とか望んでいないから、
だから、高屋敷さんが適任なのです」
リノアはそう言って、
高屋敷の手首をつかもうとした。

「寝技に持ち込めば・・」
すかさず、
高屋敷が体をずらしたので、
リノアは
はき慣れないピンヒールで
体のバランスを崩した。

「キャー・・襲われる!!
誰か助けて!!」
高屋敷が叫びながら、
ドアを開けて廊下に飛び出た。

リノアも追いかける。
鬼ごっこは得意だ。

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