恋する乙女の下着事情
<放水事件・撮影スタジオ・その4>

保育園の正面の向かい側は、大きな駐車場になっている。

高屋敷は駐車場を突っ切り、向かいのビルに入った。
エントランスを駆け抜け、大きな撮影スタジオのドアを開けると、

たくさんのスタッフが、写真撮影の準備と
機材チェックをしていた。

「申訳ありません!!すぐに準備を!」

高屋敷が大きな声で叫んだので、
周囲の人が全員振り向いた。

「高屋敷さん?どうしたの?その恰好?」
ハンガーに掛かった服を
いくつも抱えたスタイリストらしい女性が声をかけた。

「こいつに・・・
水をぶっかけられたんです!!」
高屋敷が怒りをこめて、リノアを指さした。

袋を抱きかかえて、
戸惑いを見せているリノアに、全員の注目が集まった。

リノアはあわててきっちり、90度の礼をした。
「ごめんなさい!私のせいなんです・・・」

その時
スタジオの端の暗い、照明の機材の横で、
含むような笑い声が聞こえた。

「高屋敷、まったく君らしくない登場だな・・・」

うす暗い中から、長身の男性が一歩前にでた。
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