10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 先生は私の目を見ると、

「でも『よかった』ってことは子ども作ることは、前向きに考えてくれてるってことでいい?」
とはっきりと聞く。

「う……」
「黙ってると、勝手にそう解釈するよ?」

 またそう言ってまっすぐ見られると、私は目がそらせなくなる。

「ま、前向きなのかわからないですけど……先生のこと知ることにつながるなら知りたいって思っただけで」

 私がこの恥ずかしい気持ちを、なんとか言葉にすると、先生は目を細めてそのまま私にキスをした。
< 103 / 333 >

この作品をシェア

pagetop