10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

「それでもまだ諦めきれないみたいでさ」
「それは強メンタルの持ち主ですね。逸材かもしれません」
「だからさ、僕らで協力してあげない?」
「協力と言われても何したら……」

「彼女と大和が話せる『場』をセッティングしてあげるの」
「私にできることならなんでもします」

 もし結婚でもして性格が今より柔らかくなって、今より大和先生といい関係が築ける突破口になるなら、それに縋りたかった。

 たまにしかないが、大和先生が成井家に来た時は、母親である和世さんはやっぱりすごく嬉しそうにしていて、それを見ていても、大和先生にはもっと実家にも顔を出してほしいとも思っていた。

 きっと結婚して子どもでもできれば家に戻ってくる頻度は増えるだろう。
 大和先生が結婚とか、パパになるとか、全く想像はつかないけど……。
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