10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
 そして一通り笑い終えると、まっすぐ私を見て言った。

「落ち着いたら、正式に大和をうちの副病院長にするつもりなんだ」
「え……?」

 大和先生は、今、病院内の役職にはついていない。
 役職で行けば、島原先生の方が内科部長として役職がついているくらいだ。

 病院長は微笑むと言う。

「前々からずっと考えていてね……若いし私の息子っていうのもね、色々と反発もあるかなぁって思ってたんだ。それに前はほら、あの感じだったしね。だけど、最近の大和の様子見てたら、大丈夫だって思ったんだ」
「そうなんですか」

「きっと結婚したら変わるのかなぁって思ってて……そのためにも、余計に早く身を固めろとは、ずっと言っていたんだよ」

 病院長は苦笑して言う。
 そんなこと全然知らなかった……。

 それより、ずっと、っていつから言っていたのだろう?
 そう思った時、病院長は続けた。「でも大和に全然その気がないみたいで。果歩ちゃん連れて来た時は、そういう事だったんだなぁって思って嬉しかった」

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