10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 なんだろう。全部繋がりそうで繋がらない、この感じ。

 ありえないけど、ありえるかもしれない話としては、大和先生が私のことを好きでいてくれて、あの暗示もかかってないけど『暗示にかかってるふり』をして結婚までしてくれたってことだ。
 しかもそれに関しては島原先生もグルだったことになる。


「そんな遠回しなこと、あの大和先生がするかなぁ……」

 私はつぶやいて考える。名探偵ではない自分が恨めしい。

(でも本当にそうだったら嬉しいんだけどさ……)

 それこそ、大和先生のことが好きになっている女の『都合のいい解釈』だ。
 そう考えて、やっぱり大和先生のことは好きになってるんだよなぁ、とまた考える。

 昨日だって、あんなことされたのに、ふとした瞬間に思い出しては、ドキドキして止まらなくなるのだ。

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