10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
そんなことを考えている私を見て、島原先生はにやりと笑うと、
「よし、やるよ! 善は急げだ!」
嬉しそうにスマホを取り出して操作しだした。
「なんでそんなに楽しそうなんですか」
「え、面白いじゃない。結婚して、奥さんにデレる大和とか、見たくない?」
一瞬想像したら、ブルリと背中が冷えた。
「今、想像して、寒気しました」
「ひどいな」
「ってそもそも大和先生が誰かにデレるなんてありえないんじゃ……」
「大丈夫でしょ。恋は人を変えるからねぇ。とにかく、おいで」
「え、えぇ……!」
島原先生は私の手を強引につかむと、私を引っ張って歩き出した。