10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
そんなことを考えていると、大和先生は、ふっと笑って私を手招きした。
私はそれに吸い寄せられるように先生のそばに行く。すると、先生はそのまま私を抱きしめ、自分の膝の上に座らせる。
そうされると先生の熱が伝わってくるようで、私の胸がどきりと大きな音を立てた。
「それに俺は、果歩にも信頼してほしい」
「私?」
私が先生を見上げると、先生は軽いキスを私に落とす。それから私もやめられなくなって、ちゅ、ちゅ、と軽いキスを何度かすると、唇が離れた瞬間、どちらともなく微笑んだ。
先生はするりと私の頬を撫でる。それに、ビクンと身体が反応すると、先生はまじめな顔をして私を見つめた。