10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
悩んでいると、先生は私をそのままソファに押し倒す。私は慌てて首を横に振った。
「やっぱり気持ちいいとか、わかんない」
「うん。じゃあもう少ししてみようね」
「やぁっ!」
なにその特訓方式!
そう思うのだけど、先生は楽しそうに私の背中や腕や足を触って、それから口づけた。
そのたびに、ビクンと跳ねる自分の身体が恥ずかしくて泣きそうになる。
「やっぱり昨日と一緒! もう、やっ! やだっ! 無理っ」
泣きながら首を横に振る私を見て、先生は額にチュ、と軽く口づける。そして、自分のワイシャツのボタンを外す。
驚いて目を背けた私の手を取って、私の手にも軽く口づけて、自分の胸にそれを持って行くと自分の左胸を触らせた。
「どう? 人の肌って暖かいでしょ?」
驚いて手を離そうとしたけど、そのぬくもりに手を離せなくなる。先生のぬくもりだ……。
「あったかい」
なんだか、安心する。
先生は目を細めて笑うと、頷いた。