10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
目が覚めたのは早朝だった。と言っても、眠りについてから30分も経ってない。
先生は私を抱きしめたまま、ベッドの中にいた。
「……今日は呼び出し、なかったんですね」
掠れたままの声で私が言うと、先生は私を見て微笑む。
「あぁ、そういう約束だからね」
「どういうことですか……?」
「昨日から土曜の夜だけは、夜の呼び出しないように夜勤専門の先生増やしたんだ。だからこれからも土曜の夜は完全オフ」
「……へ?」
そんな話初めて聞いた。
だから昨夜は、オンコールなかったんだ。
私は何度も何度も愛されている最中に、もう逃げだしたい気持ちがよぎった。だけど、きっといつものようにオンコールがあるだろうとタカをくくっていた部分もある。
しかし、全然オンコールはなく、こうして二人で朝を迎えたのだ。
「だから最初から果歩のこと抱く気だった」
大和先生はあっさりとそんなことを言う。
「〜〜〜!」