10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
昨日最初からそのつもりだったの? 私、自分から『なんで最後までしてくれないの』って泣いて、最後までしてほしいってお願いしたみたいになってなかった?
(は、恥ずかしい! それに大和先生、絶対わかってやった! やっぱり意地悪だ!)
私が青くなったり赤くなったりしているのを見て、大和先生はクスリと笑う。
「果歩、どうしたの?」
「大和先生なんて、嫌い!」
「そんなひどいこと言うなら、好きって言うまでまたするけど?」
先生がまた私にキスを落とし、手を太ももに這わせる。
一晩中そういうことをしていてもう限界なのに、触れられるたびにいちいち身体がピクリと反応して、私は泣きそうになった。
「やっ! も、もう無理ぃっ……」
「うん、ごめんね?」
「もう嫌いじゃない。好き! 好きだからぁ! もうやめて……!」
「俺のこと好きなら続けていいよね?」
先生は意地悪な笑顔で笑った後、私をベッドに縫い付けて、その日の夕方に出勤するまで、何度も何度もまた私の身体を貪り続けた。
夕方になって、先生がつやつやした顔で出勤していったとき、私は自分のした『お願い』を早くも後悔し始めていたのだった。