10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
21章:成井夫妻の新しい日常
気づいたら月曜の朝にセットしているスマホのアラームで目が覚めた。
疲れからか夢も見ずにぐっすり眠った気がする。
大和先生は帰ってきてなくて、相変わらず呼び出されたまま勤務を続けているらしかった。病院でも仮眠は取れるが、元気すぎやしないだろうか……。
結局土曜の夜からほとんどベッドの上にいたことを思い出して、ゆっくり床に足を下ろすと、身体がふわりとした気がした。
(まだ抱きしめられてるみたいだ)
あの最中も何度も強く先生に抱きしめられた。自分もしがみつくように先生に抱き着いていたんだ。
大和先生がいなくてもその感覚だけが残っているのが不思議だった。