10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
麻子さんは自慢げに鼻を鳴らすと、
「そうでしょ。私と兄がプロデュースしたの」
「さすがだね。まぁもともと素材もいいしね」
島原先生はさらりと言う。
その時、麻子さんは企んだような笑みを浮かべてスマホを取り出した。
「ちなみに、土曜日、果歩ちゃんがかわいい恰好で撮った写真があります」
「えぇっ! いつの間に!」
「そっと撮ってたの。だって、病院にはあの服も着てこないでしょう」
「当たり前じゃないですか! あんなスカート短いの!」
「へぇ、それは見てみたい」
私が泣きそうな声で叫ぶと、島原先生が飄々と言う。
その言葉に、顔が赤くなったのが自分でもわかった。
(また島原先生、からかって!)
麻子さんと島原先生が一緒にいると、どうも二人は相性が良すぎるのか、いつも以上に私がからかわれる気がする。
「絶対見せちゃだめですからね!」
「冗談よ、冗談」
そう言って麻子さんは笑っていた。