10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 私が席を立った後少しして、麻子さんはにこりと笑って島原先生に指を何本か差し出す。

「写真、これくらいでどうでしょう」
「ホント、麻子さんは人の足元見るの得意だよねぇ」
「これで新作のエルメスのバッグ買えます」
「え、それ、後ろに10つくの!」
「勝手に人をダシに使った件も含めたら安いくらいですよね?」

 麻子さんはそう言って楽しそうに笑い、島原先生はしぶしぶ頷いていたそうだ。
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