10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
今日は水曜日。初めて身体を重ねた土曜から4日目となっていた。その間、顔さえ合わせればずっとこうだ。
抵抗しようとしたところで、無理矢理またキスをされて、全身から力が抜ける。抵抗しようとしても大抵は無駄に終わる。
「やだっ、せめて寝室で……」
「だーめ」
いくら毎日、色々な場所でそういうことをしていても、明るい場所でされるのはやっぱり恥ずかしいし、できれば暗い寝室のベッドでしたい。
いや、そうじゃない。できれば、一週間に一回くらいでお願いしたい。
なのに先生はそれをあまり好まなくて、いちいち明るい場所で見せつけるように何度もそうしてくる。
「男はね、隙だらけの果歩見て、こういうこと想像しちゃうの。だから他の男には気を付けて。隙なんて見せちゃだめだよ。果歩だって、俺以外にこんなことされるのは嫌だろ?」
先生は心配しすぎだ。
って言うか先生みたいにこんなことばっかりする男の人なんていないのではないだろうか、とふと疑問がよぎる。
「そ、そうだけど……! んっ……そもそも、本当に、こんなに毎日、一日に何回もするものなんですかっ……?」
「これが普通だよ? うちは俺が仕事でいないことが多いから心配だし、他より『少しだけ』多いかもね」
これが『少しだけ多め』で『普通』だなんてみんな体力ありすぎる……と一瞬思ったが、そんな考えがまとまらないほど、またオンコールが鳴るまでの数時間、抱きつぶされることになった。