10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 最後、先生は連れて行きたいところがあるんだ、と笑って、家からも見えるくらいの高さのある高層ホテルに私を連れて行き、最上階の部屋に入った。
 その眺めは最高で、それを見て私は目を輝かせる。

「キレイ!」
「うん、うちの近くで申し訳ないけど」
「嬉しいです! 空に……近いです!」

 私は空を見上げる。
 今日は晴れていたせいか、いつもより星が綺麗に見える。こんなところだからさらに。

 喜んで眺めていると、後ろからぎゅうと抱きしめられた。

「っ……なんですか?」
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