10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 でもなんとなく行く気にならなくて、私はとぼとぼと歩き出した。
 そして私は空を見上げて呟く。

「こんなとこじゃなにも見えないのに……」
「果歩ちゃん! なんでこんなとこにいるの! 心配するでしょ!」

 男の人の声。思わず周りを見ると、一人で葬儀場からかなり遠くまで歩いてきていたようだ。
 男の人の方を見ると、顔がぼやけて相手がだれかわからない。

「ごめんなさい。星、見えないかなぁって思って。でも見えなくて」

 私がつぶやくと、その男の人は私の手を取った。

「そうだ、いいところがあるよ。ついておいで」

 そして連れていかれたのが、プラネタリウムだった。
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