10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「わ、私の話より、大和先生です!」
私が思わず叫ぶと、大和先生が私の顔を見た。せっかく目が合ったのに、私は怖くて目をそらしてしまう。
そんな私をフォローするように島原先生は言った。
「そうだよねぇ。果歩ちゃんは心配してるの。大和がなかなか結婚しないから」
「お前には関係ないだろ」
その言葉にズキリと胸が痛む。
(関係ないけど……でも……)
「さ、差し出がましいと思いますが、私も成井家の一員だと思っています。だから心配なんです。いつも大和先生一人で頑張ってるから……支えてくれるような人が必要なんじゃないかって」
「うんうん、そうだよね」
島原先生が相槌を打った。
「だから」
そう呟いて、麻子さんと目が合うと、頷いて見せる。
(麻子さん、私に任せて!)