10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
沈黙の時間が流れる。
(なんだ、この状況……)
前から思ってたのだけど、先生ってこういうところがある。
重要な場面になると、私に気持ちの有無を確認したり行動を任せたりする節がある。と思ったら、そういう場面ではないときは、何も聞かずに押し進めることだっていっぱいあるし……。
できれば今は、自分では決めたくなかった。流されれば絶対『そう』なった自信だってあるのに……。
そんなことを思っていると先生はクスリと笑う。
「俺は今日はやめておいた方がいいと思うよ? まだ月曜だし、明日から果歩の身体がもたなくなる」
「うぅううう……」
それは確かにそうだ。先週だって散々だったじゃないか。
もし先生の言うことがホントだったら、先週よりヨレヨレとした一週間を過ごすことになる。