10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

「果歩、ゆっくり休んでおきなさい。帰ってきたら、身体、診てあげる」

 先生は出発際にそう言い、「いってきます」と私の唇にキスを落とす。
 文句の一つでも言いたいけど、言えない。

 私があらゆる罵詈雑言を考えながら目を瞑ると、疲れからか驚くほど長く眠ってしまい、次に目が覚めた時は、なんと夕方だった。
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