10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
30章:告白の返事
夜、私たちはベッドの中にいた。
最初は真剣に診察してくれてた大和先生も、アザとして残るようなものはないとほっとして、そこからなぜかまたいつもの調子に戻ってしまったのだ。
「……反省してたのかと思いました」
私が思わずむぅっとしながら呟くと、大和先生は私の髪を優しく撫でる。
「だからうんと優しくしたでしょう」
「私が思ってた反省の方向じゃないんですけど」
思わず睨むと、先生は楽しそうに笑って、
「そうだった? でも果歩が目の前にいてなにもしないのももう無理だし、果歩だって途中でやめるの嫌がっただろ」
とまた悪びれずに言う。