10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 私は慌てて島原先生を呼び止める。

「島原先生っ! 話したい事があるんです」
「……今度でいいかな。この子、譲る人待ってるし」


 私は島原先生の前まで小走りで行くと、先生の目をじっと見た。
 島原先生と目が合う。私は目をそらされないように、その目を捉える。

「少しだけ……! 少しだけでいいから聞いてください」

 数秒後、島原先生は頷いた。

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