10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「大和先生以外、恋愛として好きになるとか……そういう風に男の人を見ることは一生ないです」
「そんなの、これから先もずっとそうかどうかは分からないでしょう」
「わかるんです」
ただの空想かもしれない。でも、そんな風に思うのだ。
きっとこれから先も、大和先生しか男の人として好きになることはないだろうなって。
そんな確信だけがある。不思議な感覚だった。
「島原先生の気持ちは嬉しかったけど、でも、それは人として好きになってもらえて嬉しいってことで……。女性として好きでいてくれてるなら、絶対にその気持ちに応えてあげられることは、今も、未来も……ないです。ごめんなさい」
私はまっすぐ島原先生に頭を下げた。