10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 つまり、今までかかった、大和先生、島原先生は私に好意を持っていたってことだ。
 島原先生には告白されたし、それはたしかにそうかもしれない。

 そして……

「……だからあの時、島原先生はかかって、受付にいた人はかからなかった」

 以前、かけようとしてかからなかった人もいた。大和先生の言うことが本当なら、確かにそうだ。


 私がつぶやくと、大和先生の眉が不機嫌そうに動く。

「もしかして他の人にもかけようとしたの⁉」
「いやっ……あの……受付で怒ってた男の人に……つい」

 後半に向けて、どんどん声が小さくなる。それもそのはず。

(これは知られてはいけないことだった気がする……)

 ちらりと大和先生を見ると、大和先生は、すっと目を細めて、

「果歩……この話終わったら覚悟してて」
と低い声で言う。

「う……」

 大和先生のその声と言葉は、どんな暗示より私の身を固まらせることができると思った。

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