10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
 すると、大和先生は

「反省してるの?」

と地を這うような低い声で言った。
 その声を聞いて、身体が勝手に恐怖で跳ねる。

「……ふぁ、ふぁいっ!」
「責任、どう取ってもらおうかな……」
「どうって……! んんっ……!」

 突然唇が大和先生の唇でふさがれて、そのままぬるりと口内に舌が入り込む。歯列をなぞり、私の舌を絡めとる。
 一気に脱力すると、それを見て満足そうに笑った大和先生が、手際よく私の服を全部脱がしてしまった。

「ふぁっ……⁉ だ、だめ……もう朝だし!」

 私が言っても大和先生は目を細めて、

「朝からっていいね。よく寝て、いつもより何倍も元気。ありがとう、果歩」

と言い出す。

(いつもより、元気……?)

「ふぇっ……」

 逃げようと身体を動かしたところで、すぐに捕まった。そのまま押し倒され、大和先生は私の身体を弄りながら、楽しそうに言葉を続ける。

「今日ももちろん手加減しないってことでいいね」
「やぁっ……んっ……ご、ごめんなさいっ! あ、んんっ、や! て、手加減は、し、してくださいぃいいい!」

「だめ」

 先生はそう言って笑うと、怒っているとは思えないほど、甘い甘いキスを私に落とした。

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