10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「相手のことよくわかるようになったし、心理分析得意になっちゃった。大和はあっさりして見えるけど、違う。オタク気質。あ、粘着質かな」
「勝手に人を分析しないでくださいよ」
「その粘着質な性格の君に頼みごと」
「なんですか」
怒ったように顔を上げると、先ほどまでとは打って変わって真剣なまなざしで、歩さんが俺を見ていた。
「果歩のこと、頼むよ」
そして、はっきりとそう言ったのだ。