10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「ヤラシイ目で、うちの秘書見るのやめてくれる?」
病院長室に話をしに行ったとき、コーヒーを出してくれた果歩の後姿を見ていたら、父にそう言われて、一瞬どきりとした。
「……見てませんけど」
「ふうん」
「見てません!」
とは言ったけど、ガンガンに見ていた。
何なら、よからぬ想像までしていた。
それくらい、大人になった果歩との再会は、もうこれまでの人生経験の中で、群を抜いてヤバかった……。