10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「今日はもう疲れただろうし、お風呂に入って寝よう?」
大和先生は言う。
私はぼんやりする頭を振って、口を開いた。
「あ、はい……私はどこで眠ればいいですか?」
「寝室、こっちだよ」
先生が先に立って歩きだす。どうやら案内してくれるようだ。私は先生について歩いて行った。
そして寝室についたとき、私はベッドを見て歓声を上げた。
「ベッド広い!」
テレビでしか見たことないくらい広いベッドに、わぁ、と子どもみたいに喜んでしまって、飛び乗る。
(ふかふかだ! 広い!)
こんな広いベッド初めてだ。一人暮らしでは小さなシングルベッドだったのだ。
先生はそんな私を見て、クスリと笑うと、
「うん、二人で寝るからね。広くないとだめでしょ。だから新調した」
と言ったのだった。
私はピタリと身体を止め、先生をじっと見る。
(い、今。ふ、二人で、って言った……?)