10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 成井家では、昔から使ってる大きな木のリビングテーブルに4人並んで座った。
 それも、私にとって嬉しいことだった。こうやって4人揃うことは、私には憧れだったから。

(本当の家族になれたみたいで……)

 病院長は私の目の前に座っていて、私の隣には大和先生がいた。

 病院長は和世さんが出してくれたコーヒーを一口飲むと、
「あのね、大和と和世は知ってるんだけど」
と口を開いた。

 私が首を傾げると、病院長は続ける。
「私ね、今度、肺がんの手術をするんだ」
 そして告げられたのは思ってもいないことだった。

「……へ?」

(今、肺がん、って言った? 誰が? 病院長が……?)
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