10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
―――私、決めた。
「果歩?」
そう問う先生の目をまっすぐに見る。
もし、先生がこれから先、暗示が解けて激怒したとしても……私はそれ以上に先生に、自分のことを好きになってもらっておくから……。
だから……。
「大和さん、私と結婚してください」
(1,2,3……)
―――先生、私のわがままに付き合って。
(7,8,9,10)
数え終わった途端、先生は目を細める。
「それ、こっちのセリフ。ありがとう、果歩」
先生と目が合ったまま、顔と顔の距離がどんどん狭まる。
目を瞑った時、先生は今まで以上に甘い甘いキスを私に落とした。