追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
男の子は早く先に行きたくてしょうがないといった様子だが、女の子に窘められてそれ以上反論しない様子を見る限り、ココと呼ばれた小さな女の子を積極的に置いていこうとは考えていないようだった。

少年の成長の中に一時期ある、何かにつけ一回は文句を言わなければ気が済まない頃なのかもしれない。

彼らが足を止めているので、五人ほどの子どもたちの集団は最年少の女の子が追い付くまで村の真ん中にある広場に留まっていた。

「あたしもいくの~~!」

一番小さなココの年の頃は、四歳ほどだろうか。

他の子どもたちは、少なくとも彼女より五歳は年上に見える。

一番年上なのが少年と少女のどちらかは分からないが、このふたりはあと数年で大人の仲間入りを果たすだろう。

「おいついたー!」

ようやく集団に合流したココが、うれしそうに少女に抱き付く。

「セラフィおねえちゃん! ココおいてっちゃダメだよ!」

「ごめんなさい。レッドとお喋りしてたから、気付かなかったのよ」

「はあ!? オレのせいにするのかよ!」

罪を擦り付けられた最年長の少年――レッドが、セラフィと呼ばれた少女に文句を垂れる。

確かにセラフィは彼とずっと話していたが、それは必要なことだからだ。

それに、ここ半年で一気に身長が伸びた彼は、まだ年下の子どもたちと歩幅を合わせることに慣れていない。

< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop