追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
ようやく背を抜き返したセラフィにすべての責任を押し付けられ、彼はふて腐れたように頬を膨らませた。

「種まきの手伝いなんて、そもそも好きこのんでやるようなことじゃないだろ」

「レッドはそうかもしれないけど、村のみんなはココがくるのを待ってるわ。だってココは、『加護』を与えられるんだもの」



『加護』

それは神々から与えられる聖なる力の名。

高名な魔導師から高位の神官まで、この世界で大いなる力を持つ個人は、いずれもこの『加護』を持つとされていた。

王家も遡れば『加護』を与えられた個人であり、この大陸で広く信じられている天の女神神殿の大主教もまた、この『加護』を持つ者から代々選ばれる習わしとなっている。

そうした事情もあって、人々にとって『加護』はひどく特別なものだ。程度の差こそあれ、誰でも使える魔法とはまるで違う。

『加護』は神に選ばれた者の証であり、人類社会に於けるほぼ絶対的なステータスだった。

それは、辺境の小さな村でも変わらない。



ココに与えられた『加護』は、村にとって非常に有用なものだった。

「ココが遊んだ場所は、草木が元気になる」

その事実に最初に気付いたのは、当然というかココの両親だった。

ふたりは赤ん坊のココを連れて自分たちの畑に行き、基本的には背負ったまま農作業をしていた。

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