追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
しかし、休憩のときはココを地面に下ろし、好きに遊ばせていたのだ。

幼子らしく土の塊を投げたり、時折口に入れようとするココ。

両親はそんなココを見守りながら、一年を過ごした。そしてその年、大陸全土で天候不順となり、農作物が不作となってしまう。

村も例外ではなく、人々は倉庫に蓄えてあった保存食の一部を放出してその年を耐え抜いた。唯一、ココの家を除いては。

ココの家の畑は、例年よりも豊作となったのだ。

村人は驚いた。

ココの両親はもっと驚いていたが、当然、理由は分からなかった。

神の思し召し、赤ん坊が生まれた家が飢えては忍びないと女神様が慈悲を与えてくださったのだと人々は口にしたものの、誰も本当の原因までは理解していなかった。辺境に済む村人が『加護』に思い至ったのは、その翌年のことだ。

ココの両親はココを連れ、他の村人の畑を手伝った。元々村全体で協力して農作業をすることもあったから、それ自体は珍しいことではない。

そのとき、ココの両親は我が子をセラフィの母親に預けていた。そしてセラフィの母親は、幼いセラフィにココの相手を任せ、自分たちの畑を耕した。セラフィとココは仲良く畑で遊び、そしてまた一年が過ぎた。

その年は、ココの家とセラフィの家の畑が豊作となった。

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