追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
さらにいえば、セラフィがココを連れて遊び歩いた村の近くの森、水遊びをした小川、忍び込んだココがめちゃくちゃに引き抜いて村長を怒らせた村長宅のハーブ園でも、多種多様な作物が豊作になっていた。

そこに至り、村人はココが『加護』を持っているのかもしれないと考え始め、翌年に同じことが起きたことで確信した。

ココは、村の小さな女神になった。



「まったく、これだから女は……」

「おう、ちびっ子ども! 今日はどこで遊ぶんだ?」

レッドがぶちぶちと不満を漏らしてると、濁声が頭の上から降ってくる。

村一番の巨体を持つ鍛冶屋の親父だ。

親父は肩に大きな丸太を担ぎ、もう片方の手には仕事道具一式が入った革袋を持っていた。どうやらどこかに仕事に向かう途中らしい。

「コランさんの畑のお手伝いをするんです」

セラフィが答えると、親父は何度も頷いた。

「ああ、そういや今日辺り種まきするって言ってたな。あそこの家の玉葱は美味えから、ココの嬢ちゃんには頑張ってもらいてえな」

「うん、ココがんばる!」

「がっはっは! そうか! 頑張ってくれるか!」

村での子供の扱いは、ココが『加護』を持っている可能性が高いと分かってからも、大きく変化はしていない。

ココを特別扱いできるほどの余裕がないからだ。

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