追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
この村がより大きな農村だったならば、効率的に村に『加護』を分け与えるために話し合いが行われ、ココの行動を取り決めていたかもしれない。農村での富の独占は、場合によっては命の奪い合いに発展する。

王国から与えられた法よりも、これまでの歴史の中で作り上げられてきた掟が優先されるからだ。

しかし、ルベール村には効率を考えなければならないほどの畑がない。

子どもたちが飽きないように毎日違う場所で遊んだり、農作業を手伝うだけですべての畑を回ることができる。水源である小川はひとつしかないし、村人が山菜採りに入る森も数カ所だけだ。

富の不均衡とは、不均衡が起きるほどの富があって初めて発生する。

ルベール村はあまりにも小さく、村人の持つ財産の差はほとんど存在しない。牛や馬は村で共同所有しているし、収穫作業も村人総出で行う。山で獣が獲れれば肉は村全体に行き渡るほどだ。

「怪我しないようにしろよー！　ガハハハッ!!」

「オレが一緒なんだから、大丈夫に決まってるだろ！」

「そうだな！　セラフィの嬢ちゃんがいれば安心だ！　ガハハハッ!!」

「ええ、もちろんです、おじさん」

「おい、ふざけんなよ！」

レッドが拗ねたような声を上げると、子どもたちは大笑いする。

ココもまた、血の繋がらない兄姉たちの笑い声につられ、大きく笑うのだった。



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