花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

改めて室内を見回してエミリーはホッとする。

ここはオレリアの屋敷の二階の角部屋だ。オレリアの元で学んでいた間、寝泊まりしていた部屋だから間違いない。

生きてると実感し、エミリーは再びホッと胸を撫で下ろした。


「私、そんなに眠っていたの?」


問いかけた瞬間、エミリーは自分の声がいつもと違うように感じて眉根を寄せる。

「あー、あー」と繰り返し発声するも喉に痛みなどは全くない。

受けた毒による後遺症みたいなものだろうか考えながらオレリアへと視線を戻し、再び違和感を覚えた。

オレリアが妙に大きく見える。しかもそれほど自分と身長の変わらないオレリアを見上げている状態だと気づけば、「なんか変」と呟かざるを得ない心境に。

オレリアがアデルに目配せすると、アデルがさっと鏡台からから手鏡を持ってきて、エミリーに差し出す。


「驚くな……と言っても無理かもしれないけど。これが今のお前さんの状態だ」


受け取った手鏡を覗き込んで唖然とする。鏡に写っているのは薄紫の髪と瞳、透き通るような白い肌の子供だった。


「ど、どういうこと。なんで私、子供になってるの?」


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